オートストレーナとフィルトマットの違い
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構造やろ過装置導入の目的として近い、オートストレーナとフィルトマットの違いについて詳しく解説します。
自動洗浄ろ過装置の種類
オートストレーナとフィルトマットは用途や目的は同じであり、自動洗浄ろ過装置というくくりに含まれる製品ですが、その機構が異なります。
従来型のオートストレーナの欠点をクリアした水ろ過装置がフィルトマットであり、オートストレーナを検討される際には必ず、オートストレーナの上位互換であるフィルトマットもあわせて検討することをお勧めいたします。
オートストレーナからフィルトマットに置換えを行なった事例
では、その違いを見ていきましょう。
ろ過精度の違い
(補足解説)公称ろ過精度と絶対ろ過精度の違い
ろ過精度には、公称ろ過精度と絶対ろ過精度の2種類があります。
公称ろ過精度はメーカー独自の基準で決められたろ過精度であるため、各社同じろ過精度を表示していても実際にはばらつきが発生します。
一方、絶対ろ過精度は表示目開きの粒子捕捉精度が99.9%であるものになります。フィルトマットの開発・製造元であるアミアド社では、公称ろ過精度を採用しております。
オートストレーナのろ過精度
カタログスペックとしては、非常に細かい目開きの製品も多くありますが、基本的にどのようなろ過装置であっても、目開きが小さくなると目詰まりが発生するリスクが高まります。
特に一般のオートストレーナでは顕著で、原水の水質に対し無理のある、高いろ過精度のフィルターを適用するとすぐに目詰まりします。
これは洗浄力に由来するもので、精度が高くなる(=目開きが小さくなる)と、目が細かいので物理的に目詰まりしやすくなるためです。
そのため、特に表流水に代表される水質変動がある原水の場合、必ず原水の水質を考慮すること、洗浄力のテストを行なうことをお勧めいたします。
ポイント
オートストレーナでは、表示されている公称ろ過精度に満足されていないケースが数多く見られます。理由は、縦と横で目幅が異なるウェッジワイヤースクリーンを採用しているケースが多く、細長いSSがリークしやすいためです。
また、洗浄システム性能に根本的な制約を抱えているため、安定的に適用できる限界のろ過精度が低く、フィルトマットに比べ目開きを大きくせざるを得ない上、フィルトマットと同じ公称ろ過精度でも違いが如実に表れるケースがあります。
フィルトマットのろ過精度
フィルトマットではスポット吸引洗浄タイプで最小10ミクロン、スレッド式なら最小目幅2ミクロンまでの高精度ろ過が実現できます。
フィルトマットは独自方式の強力洗浄機能を有しており、オートストレーナではすぐに目詰まりしてしまうようなケースにおいても、高精度ろ過の領域でも非常に目詰まりしにくい特徴があります。
洗浄力も機種やオプションの適用により3段階あり、原水の水質とお客様のニーズに合わせたろ過装置が提供可能です。
ポイント
フィルトマットでは、洗浄は難しいけれども高いろ過精度を発揮できる畳織式のスクリーンメッシュを採用しております。洗浄が難しい弱点を独自の洗浄方式により克服し、ウェッジワイヤースクリーン等のろ過と比較し、優れたろ過精度を実現します。
他社製ウェッジワイヤ80ミクロンろ過水
フィルトマット畳織方式200ミクロンろ過水
洗浄方式の違い
オートストレーナの洗浄方式
多くのオートストレーナでは逆洗方式、またはブラシやスクレーパー洗浄方式が採用されていますが、逆洗方式は逆洗水流を一方向に流すだけなので、均一に不純物が積層(目詰まり)しないスクリーンに対して全面的に満遍なく洗浄することは困難です。汚れが徐々に絡みつき堆積し、最終的に目詰まりを起こすリスクがあります。
ブラシやスクレーパーでの掻き取り洗浄方式では、そもそものブラシの線径が大きいことから、目の細かいスクリーンの洗浄には不適であり、限界があります。
イメージとしては、ざるの目に詰まったうどんを箸で掻き取る様子を思い浮かべていただければわかりやすいと思います。
そのため、アミアド社のブラシ洗浄式オートストレーナでは、フィルトマットスポット吸引洗浄タイプより粗い目開きのスクリーン設定をしております。
フィルトマット(スポット吸引洗浄タイプ)の洗浄方式
フィルトマットスポット吸引洗浄タイプでは、吸引ノズルがスクリーン全面を端から端まで回転しながら移動するため満遍なく吸引洗浄します。洗浄力を面ではなく点(スポット)に集中して吸引することで極めて高い洗浄力を発揮します。
スレッド式ろ過装置の洗浄方式
スレッド式ろ過装置では、高圧ジェット水流による洗浄を行ないます。
洗浄時間の違い
オートストレーナの洗浄時間
1回数分程とやや長い傾向にあります。
また、洗浄システムに性能上の制約があるため、頻繁に洗浄が行われることも珍しくありません。
フィルトマットの洗浄時間
最大数十秒と非常に短い洗浄時間です。
メンテナンスの違い
オートストレーナのメンテナンス
機種により異なりますが、スクリーンの開放点検・洗浄だけでも1日作業となるものもあります。
また、頻繁な定期分解清掃が必要であり、目詰まりした場合は突発対応を余儀なくされます。
フィルトマットのメンテナンス
フィルトマットは1年に1回の定期開放点検を推奨しております。通常は定期開放点検のみで安定運用が可能であり、万が一スクリーンが目詰まりを起こしても、短時間でスクリーン脱着、洗浄作業を終えることができるシンプルな構造となります。
ただし、そもそも目詰まりが発生しにくくスクリーンも長期間にわたり連続使用できるため、10年以上にわたり同じスクリーンを運用されているお客様も多くいます。
対応する水質の違い
オートストレーナが対応する水質
オートストレーナでは、藻類などの長繊維が絡みつく原水や、高濃度原水、粘性のある原水ではすぐに目詰まりしてしまうため対応が難しいというのが実情です。
フィルトマットが対応する水質
フィルトマットでは、難しい原水にも対応できる強力洗浄機能を有しています。
特にMCFM型はフィルトマットシリーズで最強の洗浄力。従来型のろ過設備では洗浄力不足やコスト高で諦めていたような用途でも、MCFM型であればご要望にお応えすることができる事例もございます。
まとめ
従来型のろ過装置であるオートストレーナは洗浄力に限界があります。
その結果、高いろ過精度を求められる現場では不適なケースがあります。
ほか、オートストレーナが抱える様々な課題点をクリアしたものがフィルトマットと言えます。
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