失敗しないろ過装置の選び方

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ろ過装置というものは、一般的に長期間継続して運用されます。そのため頻繁に購入するものではなく、選定する側も何をポイントに選定すれば良いのかわかりにくいという性質があります。

トラブルになる前に、ろ過装置の選び方のポイントとなる部分を押さえておくことをお勧めいたします。

ろ過装置の選定失敗パターン

失敗1
精度が低く、ろ過の目的を達成できない

多くの場合、ろ過精度の高さはコストに大きく関わります。
しかし初期費用節約のため、本来必要なろ過精度より低い精度のろ過装置を導入してしまうと、水質改善が十分に行なわれず後段でトラブルが頻発することになります。

解消しようとすると、より性能の高いろ過装置に入れ替えるか、又は後付けで追加のろ過装置を導入することになり、いずれにしても大きな労力と損失が生じます。

失敗2
過大設備で本来不要なコスト増大

設計条件で過大なスペックを設定するなどして、本来不要な高精度ろ過設備、または過剰なろ過設備を導入すると、結果としてイニシャルコスト・ランニングコストが増大してしまいます。

例えば、本来砂ろ過までの精度が不要にもかかわらず砂ろ過装置を導入し、定期的なメンテナンスコストやろ過砂の産業廃棄物処理コストが重くのしかかるケース、本来膜ろ過までは不要なところに膜ろ過を導入した結果、イニシャルコスト・ランニングコストが増大してしまうケース、流体中の異物量を過剰に設定してろ過設備の規模が大きくなり、イニシャルコスト・ランニングコストが増大してしまうケース等があります。

失敗3
頻繁な目詰まりの発生

原水の水質に対しフィルターのろ過精度が過大、且つろ過装置の洗浄力が弱い場合、自動洗浄で汚れを取りきれず、頻繁に目詰まりが発生します。

これは洗浄力の低いオートストレーナに高精度なフィルターを取り付けた場合に起こりがちです。

目詰まりが発生するとろ過水の供給を停止することになり、その間後段での処理が停止してしまいます。影響が大きい場合、工場の操業を停止せざるを得ない場合もあります。

失敗4
耐久性が低くすぐ故障してしまう

価格は安いが耐久性が低く、すぐ故障してしまうろ過装置も存在します。

ろ過装置というものは長期間圧力と水流による物理的衝撃・摩擦に晒されるため、実績があり信頼性の高いろ過装置をお選びください。

失敗を避ける方法

失敗パターンに陥る原因は何か?
それはろ過装置選定における3つの要因を十分にケアできていないからと考えます。

  • 要因1.目的の設定が不十分
  • 要因2.現状把握が不十分
  • 要因3.ろ過装置の「実際の」能力の把握が不十分

ろ過装置が提供する本質的な価値は原水と得たい水質のギャップ解消といえます。

つまりろ過装置選びというのは、カタログスペックや過去の類似事例だけ判断するのではなく「目的」と「現状」のギャップを解消できる装置を慎重に決定することが重要ということです。

STEP1
目的設定:どの程度きれいな水を得たいのか

「きれいな水」と一口に言っても、深い意味を持ちます。

水の中には大きな粗ゴミ、SS、病原性原虫、濁りの元となる原因物質、細菌やウイルス、水に溶け込んだイオン等、様々な物質が混じり合っています。
そして、ろ過装置の種類やフィルター選択によって、それら物質のうち除去できる対象が大きく異なります。

今回ろ過装置を用いる部分では何をどれだけ除去することが必要なのかを検討し、そこから除去対象物質の特定、必要なろ過精度を検討していきます。

STEP2
現状把握:原水の正確な水質把握が必要

上述のとおり、水中に含まれるものは多様であるため、ろ過装置に「何をどれだけろ過することを求めるか」について決めるには、原水の正確な水質把握が必須です。

この原水の状況と、ろ過の結果得たい水質を把握して初めてろ過装置の選定が可能になります。

STEP3
目的にあった適切なろ過精度を設定

ろ過精度設定の例

例えば、砂利・木片などの大きな粗ゴミを取り除ければ十分なのか。
ろ過水の供給先で目詰まりや硬質な固形物の衝突による損傷を予防するために数十ミクロンレベルの精度が必要なのか。
または後段の高度処理設備を保護する目的で、数ミクロンレベルの微細な浮遊物質の除去が必須なのか。
それとも飲料水レベルの清澄さを求めるのか等。

STEP4
集めた情報を総合し、ろ過装置を一次選定する

原水の水質を把握し、求めるろ過精度が設定できたら、それに対応できるろ過装置を選定します。
この選定は、自社だけでなく、なるべくメーカーを巻き込んで行なうことを推奨いたします。

ろ過装置メーカーへの効果的な相談の仕方

例えば「原水がこれで、得たい水質条件がこれで、適切な自動洗浄式ろ過装置を提案してください」と言えば、提案してくれるでしょう。

その際、できれば実際の原水を用いてテストを行なうことをお勧めします。
提案されたフィルターで、原水をどの程度ろ過できるのか、得られる水がどの程度きれいなものになるかを導入前に確認できれば、安心度は高まります。

注意:メーカー/機種により同じ公称目開き(ろ過精度)でも実際のろ過精度は大きく異なる

下記は他社製オートストレーナとの比較実験における実際の写真です。
目視でわかるレベルで、得られる水質には違いが出ます。

他社製ウェッジワイヤ80ミクロンろ過水

フィルとマット畳織方式200ミクロンろ過水

厳しい原水の場合や、多台数導入の場合は洗浄力のテストも推奨

原水の水質が、高濃度、粘性がある、長繊維が絡みつく等の厳しい水質の場合、ろ過装置の選定を誤ればすぐに目詰まりしてしまいます。それはフィルターの洗浄力が不足しているからです。

厳しい原水の場合は、洗浄力のテストを行なうことをお勧めします。

実機による洗浄力テストの様子

実機による洗浄力テストの様子

注意:水質というのは変動するものである

水源が河川などの表流水の場合、上流での工事や降雨・台風での一次的な増水等の様々な要因によって、濁りが生じたり漂流物が急激に増加します。
また、水温の上昇・富栄養化等による珪藻類の増殖は、長繊維が絡みつき目詰まりの要因となります。
微生物の作用によりスライム状の絡みつく水質に変わることもあります。

そのような水質変動が発生する可能性は高いのか、どこまで許容するか等も、水源及び目的を見て考えておく必要があるでしょう。そのため、表流水の場合、現在の原水に対してギリギリの洗浄力では不安があるといえます。

STEP5
ろ過テストの結果を見て、最終的な機種選定を

ここまで来れば、かなりの安心感を持ってろ過装置を導入することができるでしょう。

候補として検討しているろ過装置の中で良いパフォーマンスを上げており、水質変動の安全マージンも十分確保できる見込みのものがあれば最終候補として優勢です。

ろ過テストの結果目詰まりリスクがあれば、求める水質を鑑みて目開きを調整するか洗浄力がより高いものを経済性を考慮しながら再検討する必要があるでしょう。

お客様の環境は個別のものであり、この判断は実に経験を要します。

当社では国内400社様、1,400台以上のろ過装置導入とその後のアフターサービスにて現場を観てきた経験から、毎回このように慎重な手順を経てろ過装置を選定・ご提案しております。

ろ過を含む水処理は、千差万別の原水に対して数多くある技術的な選択肢からお客様のご要望に合致したものを選定する必要があるため、数多くの経験を重ねて低コスト・安定運用を実現する知識と実績を蓄積することが重要です。

弊社では、「いかにろ過装置の選定を成功させてお客様にご満足いただくか」について20年間以上にわたり追及し続け、そして成功するためのノウハウを蓄積して参りました。この蓄積されたノウハウこそが他社との大きな違いになると考えています。

ろ過装置ご検討の際は、是非弊社にお声掛けください。
弊社の扱うアミアド社製ろ過装置の製品自体とても素晴らしいもので、弊社の選定ノウハウとあわせて、自信を持ってお勧めさせていただきます。

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