ろ過装置とは?原理・装置の種類と原水別に最適な装置まで解説

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ろ過装置とは流体の中に混ざっている特定物質をろ過材などで取り除く装置です。ろ過機と呼ばれることもあります。世の中には多種多様なろ過装置が存在しています。特性、対象とする流体、除去できる物質およびろ過材も様々で、ろ過装置の導入に慣れていない方には、全体像を把握しがたい専門的な世界と言えます。

そこで、できるだけ広く網羅的にろ過装置についてまとめ、自社にとって適したろ過装置はどのような分類のろ過装置にあたるのかをイメージできるよう、整理いたしました。

ろ過の仕組み・原理

ろ過というと液体のろ過を思い浮かべますが、そもそもろ過とは「流体(液体や気体)」に混ざっている特定物質を、細かい穴の空いたふるい(ろ材)などにかけて物理的に取り除く仕組みです。
身近なろ過の例では、お茶を淹れる急須の網やコーヒーを淹れるコーヒーフィルター、掃除機で吸いこんだ異物を捕捉するフィルターもろ過の原理を活用したものです。

コーヒーろ過
掃除機フィルターによるろ過
オートストレーナーによるろ過
フィルトマットによるろ過
身近な所から産業まで、ろ過の仕組みは幅広く使われている

ろ過対象1
液体

代表的な液体には、水、油、薬液等があります。それぞれ特性が異なるため、対応するろ過装置も全てをカバーすることはできません。
一般的に、水、油、薬液、各々専用のろ過装置が使用されます。

尚、水と少量の化学薬品が混じる液体の場合は、その化学薬品の性質や濃度にもよりますが、水ろ過の範疇として扱われます。つまり、多少の酸性・アルカリ性溶液であれば、その腐食性に耐えられるろ過装置であれば水ろ過装置が適するということです。

濁った液体のイメージ写真
配管がある工場内の写真
海水のろ過
必要な清浄度合の水を得る
液体のろ過シーンは多様

ろ過対象2
気体

代表的な気体には、我々を囲む大気(空気)があります。
気体に対するろ過には、HEPAフィルターやULPAフィルターなどに代表されるクリーンルームで用いられる微粒子の捕捉が挙げられます。
また、計装エア、排気エアのろ過、ガスポンプの保護フィルターなどでも気体のろ過として用いられます。

ろ過装置とは

ろ過装置とは内部にろ過のためのフィルター(ろ材)を持ち、それによるろ過を行なうための装置で、流体の中に含まれた特定物質をろ過材によりろ過、除去する機械です。一般的にろ過装置というと液体・特に水のろ過を指しますので、本稿でも水のろ過装置について解説いたします。

ろ過装置の基本構造・仕組み

ろ過装置はろ過をしたい原水をろ過装置に流し込み、フィルター(ろ材)によって異物を濾し取ります。
異物はフィルターに堆積され、洗浄時に水と共に排出されます。

ろ過装置の基本構造
項目 解説
①入り口配管 原水を流入させる配管です。
②フィルター
(ろ材)
異物を濾し取ります。ろ過装置や求めるろ過精度により様々な種類のろ材があり、
金属網のスクリーン、砂、ろ過膜等があります。
③出口配管 ろ過水は出口配管から送水されます。
④ドレン弁 ろ過装置は定期的に洗浄を行なう必要があります。高濃度の異物を含む排水を
ドレン弁から排出します。
ほか 自動洗浄機構を有するろ過装置の場合、フィルターに堆積する異物を除去するための
機械機構を有します。

ろ過装置の種類

ろ過装置は大きく分けて2種類あります。

1. シンプルにろ過だけを行なうろ過装置

ろ過をするとろ材に捕捉された特定物質が堆積されていきます。この堆積が進むとろ過材が目詰まりし、水を通さなくなります(閉塞といいます)。
この状態に至った場合は、ろ過材を交換するか、又は堆積した特定物質を取り除く清掃メンテナンスを手動で行ない、その後改めてろ過を再開します。

このようなろ過装置の代表格としては「ストレーナー」や使い捨ての「カートリッジフィルター」、「砂ろ過」等があります。

※精度が極めて粗い、大きな異物を前処理として取り除く用途のものは単に「スクリーン」などと呼ばれますが、スクリーンのみのろ過では大きな異物も通過させてしまうため、他のろ過装置と組み合わせて用いるのが一般的です。

ストレーナー

2. 自動洗浄機能付きのろ過装置

先述のとおり、ろ過を行なうにつれろ過材には汚れが蓄積していきます。ろ過材が完全に詰まる前に手作業で毎回メンテナンスするよう気を配ったり、実際に詰まりが生じ閉塞してしまった場合に緊急対応するためには人手を要するので大変な負担になります。

ろ過材に汚れが蓄積した際、完全に閉塞する前に機械が自動でろ過材を洗浄してくれると便利です。そこで生まれたのが自動洗浄式ろ過装置です。

自動洗浄式ろ過装置の代表格としては、「オートストレーナ」「自動逆洗機能付き砂ろ過装置」「膜ろ過装置」、そして「フィルトマット」があります。

自動洗浄機能付きろ過装置

自動洗浄ろ過装置の種類

自動洗浄式ろ過装置の選択は、ろ過の結果として求める水質(=ろ過精度)によって大きく異なります。

また、複数のろ過装置・機器を通すことにより求める水質を得るという意味で、その全体をろ過システムと称します。

そのろ過システムを構成する要素としての各種ろ過装置について、ろ過精度と共に解説いたします。

オートストレーナ

オートストレーナは、ストレーナーに自動洗浄機能を付与したろ過装置です。

一般的にオートストレーナは、定期的に逆洗を行なうか、又はブラシで内部を掻き取ることで洗浄します。
しかし、精度の高いフィルターを用いると洗浄力が足りず目詰まりが頻発するリスクがあり、選定には注意を要します。

オートストレーナとは

オートストレーナの製品紹介

オートストレーナA型は、高濃度原水に対応した実績豊富な自動洗浄式ろ過装置(オートストレーナ)です。

製品詳細

オートストレーナMAP型は、高濃度原水に対応した実績豊富な自動洗浄式ろ過装置(オートストレーナ)です。

製品詳細

ディスクろ過装置(自動洗浄機能付き)

自動洗浄機能付きディスクろ過装置スピンクリン

海水など腐食性の強い原水に対しては、一般的なオートストレーナよりも樹脂素材で構成されたディスクろ過装置が適します。

砂ろ過装置(自動洗浄機能付き)

砂ろ過装置はオートストレーナより高精度なろ過を行なう装置です。漢字で濾過装置(ろかそうち)と表記する場合もあります。

ろ材は砂で、定期的に逆洗(通常のろ過とは逆方向に水を流し洗浄する)を行ないます。
砂ろ過ではオートストレーナより高精度なろ過が可能ですが、一方でろ過材の状態によりろ過品質が変動する面もあります。一般的に設備規模、メンテナンスコスト、運用の手間が重くなりがちです。

砂ろ過とは

膜ろ過装置

膜ろ過は他のろ過方式に比べ、圧倒的に精度が高いろ過装置で、数ミクロンからナノメートル単位での精密ろ過が行えます。

ろ過精度毎に名称が異なり、大口径膜、MF膜、UF膜、NF膜、RO膜と分類されます。
特に大規模になると初期費用、運用費用共に高価ですが、ろ過精度の高い装置なので非常に高い純度の水を必要とする半導体製造工場や、海外では海水の淡水化(浄水場)などで多く利用されています。

膜ろ過は非常に微細な孔を用いたろ過方式のため、そのまま使うと詰まりやすく、また材質により破損する恐れがあるため、前処理としてなるべく多くの異物除去を行なうことが一般的です。

膜ろ過の前処理

フィルトマット

フィルトマットは、従来型のろ過装置(オートストレーナ、砂ろ過)の欠点を克服した独自方式の水ろ過装置で、国内含め世界中で普及が拡大しています。
最小ろ過精度2ミクロンから最大3,000ミクロンのろ過が行えます。

オートストレーナでは実現できなかった高精度なろ過を、オートストレーナのような気軽さで導入でき、安定した運用を実現できることが魅力です。

フィルトマットとは

ろ過対象の原水

ろ過装置が取り扱うろ過対象の水として、主要なものとして下記があります。

取水源別

深層地下水は清澄であることが多いですが、表層地下水を原水とする場合はしっかりとしたろ過が必要になるでしょう。また用途によりろ過水に求められる精度が異なります。

工場内など、産業用途

  • プロセス水
  • 冷却水
  • 洗浄水
  • 排水

工場内では製造物により様々な化学物質や硬質の固形異物が混じります。ここでもオートストレーナ、砂ろ過、膜ろ過、フィルトマットなどが適宜活用されています。

冷却水の水処理

まとめ

ろ過装置とは、ろ過を行なう装置(産業機械)であり、自動洗浄機能が付いたものが様々な精度のろ過で活用されています。

主要なろ過装置には「オートストレーナ」「砂ろ過」「膜ろ過」「フィルトマット」があり、それぞれろ過精度が異なりますが、高精度になれば目詰まりを気にする必要が出てきます。

選び方に迷った場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。

失敗しないろ過装置の選び方

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