工業用水のフィルターとは
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工業用水を用いる際に、水の中に存在する様々な固形異物を除去する必要があります。それら除去するための機器をフィルターと呼んでいます。
フィルターにはいくつかの種類があります。
ここではフィルターに属する各種ろ過装置についてご紹介いたします。
ストレーナー
工業用水を通す配管内に設置することで、固形異物をろ過するフィルターがストレーナーです。
ストレーナーの内部には蓄積した固形異物が堆積するため、放置すると目詰まりを起こし給水が不能になります。ストレーナーは安価で配管に手軽に組み込むことが可能ですが、定期的にゴミを手作業で取り除く作業が必要であり、維持管理には人手を要します。
オートストレーナ(自動ストレーナ)
オートストレーナは自動で洗浄する機能を持つストレーナーです。
工場では生産・洗浄・冷却系統に供給するために大量の水を使用します。
ストレーナーやフィルターでは詰まりが生じた場合に手作業で取り除く必要があり、洗浄時に給水を停止することになりますが、オートストレーナであれば洗浄を自動で行なうため、安定して給水が可能です。
しかし、逆洗式オートストレーナでは洗浄時に給水を停止する必要があります。また、水質によっては、洗浄力を超えてしまうと詰まりが生じ自動洗浄でも詰まりを解除できない場合があり、オートストレーナであっても手放しで運用はできないことがあります。
目詰まりが生じるとオートストレーナを分解して内部のフィルターを洗浄する必要があり、その間給水が止まり、工場の操業に影響を与える場合があります。
フィルトマット(スポット吸引洗浄方式)
オートストレーナが持つ「意外と詰まりやすい」という問題を解消した、オートストレーナの上位版が、フィルトマットスポット吸引洗浄タイプです。
オートストレーナと同じように自動洗浄機能を持ちますが、オートストレーナより細かい目幅のフィルターでもオートストレーナより詰まりにくいという特徴があります。
メンテナンスフリーにより近い運用形態
昨今の人材不足もあり、オートストレーナはメンテナンスフリーを期待し導入される場合がありますが、先述のとおり意外と詰まります。
メンテナンスフリーに近づけるのであればフィルトマットをお勧めします。
難しい水質にも対応
河川や湖沼等のから取水する際には水質変動が起きやすく、藻類などの発生により絡みつく粘性の高い水質に変化するケースがあります。
オートストレーナではそのような水質には対応できないため、取水が停止し工場の操業も停止せざるを得ない場合があり、変動要素が大きい・水質に難がある給水系統にはフィルトマットスポット吸引洗浄タイプのフィルターが多く選ばれています。
フィルトマット(スレッド式)
スレッド式のフィルトマットは、スレッド(糸)を巻いた形状のフィルターを持つろ過装置です。
オートストレーナでは粗すぎるが、砂ろ過ではオーバースペックというシーンで空白を埋める自動洗浄機能付きの水ろ過装置です。
サンドフィルター(砂ろ過装置)
砂ろ過は古くから存在するろ過装置です。
ろ過精度が高いことが魅力ですが、日々の逆洗が必要でその間給水を停止する必要があり、定期的な砂の入替えが必要でメンテナンスコストが高いというデメリットがあります。
また、装置が巨大でかなりの重量があるため、設備の老朽化時の入替えや追加を検討した際に、設置スペースや重量の問題で導入が困難になるケースがあります。その際は求める水質に合わせてフィルトマットが検討されます。
膜ろ過装置
工業用水から純度の高い水を得たい場合は、膜ろ過を用います。
半導体やFPDの製造で超純水を生成したい場合、RO膜(逆浸透膜)が用いられます。ほか、UF膜やMF膜等があります。
複数のフィルターを組み合わせて利用
フィルターは原水の水質や、ろ過結果として得たい水質によっては、複数種類のフィルターを組み合わせて利用することがあります。
例えばフィルトマットは目が細かいことから、工業用水を膜ろ過に掛ける際に膜の損傷や詰まりを予防するための前処理としても広く活用されています。
そのように段階を追ってフィルターを掛けていくことも有効な選択肢です。
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